バレエというと、白鳥の湖やくるみ割り人形など幻想的で羽ばたくような踊りである、クラシック・バレエを思い浮かべる方が多いでしょう。 しかし、対極で生まれたモダン・バレエは、衣装やマイムなどあらゆるものをそぎ落として大地に根付いて生きるような踊りで、その代表的な作品がラヴェルの「ボレロ」です。 DANCE MAGAZINE (ダンスマガジン) 2014年 11月号 シルヴィ・ギエム「ボレロ」 Amazon.co.jp 音楽もさることながら、映画「愛と哀しみのボレロ」で一躍有名になったこのバレエは、シンプルかつ大胆なまさに人間の本能であり真骨頂である作品なのです。 こちらでは、3名の世界的ダンサーが踊った動画を見ながら、それぞれの特徴をご紹介いたします。 バレエ「ボレロ」 ボレロは、1928年にモーリス・ラヴェルが作曲したバレエ音楽です。このバレエは、モーリス・ベジャール振り付けの作品がもっとも有名で、ローラン・プティのほかや野村萬斎振り付けの「MANSAIボレロ」なる古典的ボレロも話題になりました。 なお、ベジャールは仮名手本忠臣蔵を題材とした「ザ・カブキ」の振り付けでも有名ですね。 ある日、ダンサーであるディスカ・シフォニスが、海から上がってきたところ、その美しい姿にインスピレーションを得て彼女のために振り付けられました。 美しい女性の魅惑に惹かれる男性たちの目、それはベジャール自身が抱いた欲望であり本能であったのかもしれません。ほとんどの人が、男性ダンサーのためのバレエと感じているこの作品は、もともとは女性ダンサーのために振り付けした作品だったのです。 その後、映画「愛と哀しみのボレロ」で世界を一世風靡、映画のヒット以上にバレエ「ボレロ」が大絶賛の渦を巻き起こしたと言っても過言ではないでしょう。 踊りは、ひとりのダンサーがメロディとして踊り出しますが、見向きもしない人々。しかし、小さな踊りは静かに波及、ひとりまたひとりとリズムを刻みはじめ、やがて大きな渦となって皆を巻き込んでいきます。 ジョルジュ・ドン ~ 秘めた熱情と魂が交錯するパワフルな踊り ジョルジュ・ドンは、アルゼンチン出身のダンサーでモーリス・ベジャール主宰の20世紀バレエ団ではソリストとして活躍しました。 その後、映画「愛と哀しみのボレロ」に出演して完璧なボレロを踊り一躍世界のスターダムに昇り詰め、ジョルジュ・ドンと言えば…